てったい北関東

覚書、感想、備忘録

映画「あの頃、君を追いかけた」観た感想

…なんというか、これはつらい。
いわゆる青春時代に、自分はそんな甘酸っぱい青春なんてひとつもなかった。
正直いまだってないけれども、そんな今自分が、我々が、追いかけているもの、
それはアイドルである。
乃木坂46であり、齋藤飛鳥さんなのだ。

彼女が頑張っている。だから私も頑張らねばならない。
僕たちは彼女(たち)を追いかける。
追いかけすぎて、握手を求めに長蛇の列を並んだりする。
けれど、僕たちは彼女と一緒になることなんてない。
それはもちろんIFの世界の話でしかない。
いつかくる彼女たちの卒業、そして、「アイドル」でなくなるとき。
そんなとき僕たちは、それでも彼女の幸せを願わなくてはならない。

「あの頃、君を追いかけた」
いいタイトルだ。もう、今は君を追いかけてはいない。

青春映画、そうか、我々はまだ、青春を謳歌しようと抗っているのか。
ぐさりとくるのは、「あの頃」を思い返すからとかそんな柔いものではない。
今もその「あの頃」なのだ。
しかし、そんな現実を見ていないことを凶弾するのだ。
もう終わったんだ、と。
終わりは来るのだ、と。

…作中の「何物にもなれないでいる自分」。
いったい、どれだけの人間が、何者かになれたのだろうか。
オトナとなった鑑賞者は、大人になれているんだろうか。
…なれていないのは私だけか。くう。


さて映画だが、ちと長い。
登場人物が多い分、そして彼らの「友達感」を出さねばならないのでしょうがない気もしますが、
ただ一つ一つの細かいエピソードが、あんまりうまくまとまってこない。
要らないのでは?というシーンも結構あったり。

斎藤飛鳥さんは、笑ったシーンがすごくよかった。
山田裕貴さんが髪を切ったシーンの笑ったのとか、よかった。
あれは、「うっ…」ってなった。
あとバカTシャツ着てるのイイよね。かわいいなあ。

いわゆる恋愛映画とは違うんだけど、やっぱり「あざとい」シーンはわざとらしくなっちゃうよね。
山田裕貴さんの吹っ切れ方は、なんだかちょうどよく映るんだけど、
齋藤飛鳥さんのは「キャラ」になっちゃう。2次元的。
吹っ切れてないとかそういう問題じゃなくて、もう設定が作られてるもん。
こういう作品なんだから、もうちょっと「普通の女子高生」っぽい感じでよかったと思う。

二人が別れてしまうシーンだけど、あれはやり方がちょっと古くさすぎません?
地震」の使い方も、あんなもんでいいんですかね。
せっかく時代を設定してるので、もう少しうまくできてるとよかったなあ。